2014年08月19日

【紹介】アナと雪の女王 Let it go ミュージック・クリップ 〜25人のエルサVer.〜

動画を高く評価しました。

Let It Go - Multi--language "Behind The Mic" version (from "Frozen")


Let it goを25ヶ国語別に吹き替えたレコーディング風景を繋いだ映像です。



 アナと雪の女王 

ファンの皆様にお知らせです。


来たる9月中旬、東京、渋谷の映画館を借りきってコンサート気分で映画「アナと雪の女王」を観よう、
というイベントが予定されています。
もし、関心のある方がおられたら、下記の告知リンクに詳細が記されています、
現在、参加者人数を調査中ですのでご検討下さい。

アナと雪の女王 Sing along event みんあで歌おう♪
http://frozenevent.dothome.co.kr


posted by フェルマータ at 20:26| Comment(0) | TrackBack(0) | チェストのなかみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月08日

二次創作小説「アナと雪の女王」〜晩秋のアレンデール(下)〜

晩秋のアレンデール(下)

「ダメだよ マシュマロウ! 乱暴しちゃ!! その子はアナだよ!忘れちゃったのかい?」
マシュマロウと呼ばれたその雪入道がアナに向けてその巨大な拳を振り上げた瞬間、
すぐそばから誰かの声が聞こえてきました。
その途端、雪入道は振り上げた腕をピタリと止め、
そして今度は、さっき睨みつけたのとは違う、不思議そうな表情で、
アナを覗きこんできました。
彼女が誰なのか確かめようとしているようにも見えました。
一瞬何が起こったのか理解できないアナは
その場に立ちすくんだままでした。
するとその雪入道の頭の上に、
ヒョウキンな顔をした雪ダルマがヒョッコリと姿を現しました。
「やぁ! やっぱりアナだ!久しぶり!!」
その雪ダルマは、雪入道の頭の上から飛び降りてくると、
アナのそばまで走り寄ってきました。
「オラフ!」
彼女は驚いて言いました。
「あなたも いてたのね!!」
アナはその場に膝をつくと、駆け寄ってきたオラフを抱きとめました。
再会を喜ぶ二人を、更に不思議そうな表情で眺めている雪入道。

氷の城に誰も住むものが居なくなった後も、
マシュマロウはこの城をただ一人で守り続けてきました、
そして、オラフは時々この氷の城にやって来ては、
その雪入道の遊び相手になっていたのでした。

「今じゃ ふたりとも大の仲良しさ。」
オラフは自慢気にアナに言いました。
オラフの言葉に、ユッサユッサと大きな頭を縦に振るマシュマロウ、
アナは、オラフと巨大な雪入道はどちらもエルサが創りだしたものだということを思い出しました。
「時々お城の中で二人でかくれんぼして遊んでる、でも
壁が氷だから、すぐに見つかっちゃうけどね!」
オラフは言いました。
「でも・・・」
急にオラフは神妙な顔になると、アナに問いかけました。
「どうしてこんなところにまでやって来たんだい?
今まで来たことなんてなかったのに??」
オラフの言葉にアナはここまで来た理由を思い出して、再び表情を曇らせました。
オラフになら何でも悩みを打ち明けられる、そう感じた彼女は
ここまでやって来たいきさつを、オラフに話しだしました。


※ ※ ※


「・・・へぇ・・・そんな事があったんだ・・・。」
アナからすっかり訳を聞いたオラフは言いました。
二人は城の中にある長い氷の階段に腰掛け、
窓の外に見える星が少しずつ数を増していくのを眺めていました。
オラフが話しだしました。
「そんなときはさぁ、魔法の呪文でも唱えてみるといいんじゃないかなぁ、
スーパーカリフ・・・とかなんとか言う・・・。」
「そんなんじゃ、ダメみたい・・・。」
残念そうにアナが答えました。
「う〜ん、そうかい?」
オラフは少し困ったように言いました。
「・・・僕には難しいことはよくわからないけど・・・。」
オラフは頭を掻きながら言いました。
「ここにいるマシュマロウだって、初めは僕達を追いだそうとして乱暴なこともしたけど、
今は もうすっかり仲良くなれたんだし・・・。」
オラフは、そばにいる彼の巨大な友人を見上げながらそう言いました。
「だからね・・・、アナ・・・。」
オラフは優しくアナに言いました。
「たとえ自分に酷いことをした相手でも、相手が本当にその事をすまないと思っているんだったら、許してあげたって いいんじゃないかなぁ・・・。」
そのオラフの言葉を聞いた瞬間、アナの心のなかで、小さな氷の破片がパチンと弾け飛ぶような音がしました。
急に息遣いが荒くなったアナは顔を伏せると、小刻みに肩を震わせ出しました。
「私・・・意地を張ってた・・・だけなのかも・・・。」
そうアナは呟くと、途端に彼女の目から大粒の涙がボロボロとこぼれだしてきました。
アナは言いました。
「私、自分の心がすっかり冷え切ってたことに気づいてなかった!!」
彼女は涙でグシャグシャになった顔で、オラフに抱きつきました。
「ありがとうオラフ!、私の心を温めてくれて!!」
「え? 温めるって、僕、雪ダルマだよ?!」
けげんな表情のオラフをアナは強く抱きしめ、
暫くの間大声を上げて泣きじゃくっていました。

そして、心の中のわだかまりがすっかり吹っ切れたアナが
氷の城を後にしたのはそれから間もなくのことでした。
氷の橋を渡り切ると、振り返って満面の笑みで手を振るアナ、
橋の向こう側ではオラフとマシュマロウが手を振り返していました。


そして、自分の城に戻ろうとしたアナは、歩みを進めてほどないうちに、
山道の反対側から駆け登ってくる馬の蹄の音を耳にしました。
彼女が馬の乗り手が誰なのか確かめる前に、
向こうのほうが先に自分を見とめたようでした、
馬はまっすぐこちらに向かってきます。
「アナ!」
アナも、自分を呼ぶ声を聞いて、馬上の者が誰かはすぐに判りました、
馬に乗っていたのはハンスでした。
彼女の目の前に馬が立ち止まると、
不思議そうにアナは彼に言いました。
「ハンス、どうしてこんなところに!?」
「それは僕のセリフだよ!」
彼はそう答えると、
馬から飛び降りるのも もどかしく、アナに駆け寄ってきました。

彼は日が暮れてもアナが城に戻って来ていないことを心配し、
その事をエルサに尋ねたところ、
エルサは、きっとアナは氷の城に向かったのだろうと言うことを聞き、
彼は慌てて此処まで馬を走らせてきたのでした。

「私の事、心配してくれてたんだ・・・。」
アナは言いました。
「当たり前だろう!!」
ハンスは間髪を入れずアナに答えました、ですが
昼間に会った時の彼女のことを思い出すと、急に語気を落としてしまいます。
彼はアナに尋ねました。
「余計なお世話・・・だった・・・かな・・・?」
「ううん・・・。」
優しく首を横に振るアナ。
「探しに来てくれて、ありがとう・・・。」
彼女はハンスに言いました。
その言葉を聞くと、急にハンスも力が抜け、
一気に疲れが出た様子でした。
「でも無事でよかった!」
ハンスは、まだゼーゼーと肩で息をしながら、そう言いました。
彼は此処に来る途中でも、思い当たるところをアチコチ探しまわったのでしょうか、
靴には泥がこびりつき、ズボンの裾には沢山の雑草が絡みついていました。
彼の様子に、今度は自分のほうがちょっと心配になったアナは
ハンスに言いました。
「ちょっと休んだほうがいいんじゃない?」
「そうさせてもらうよ。」
彼は答えました。

二人はひときわ目立つ大木の根本、落ち葉が絨毯のように敷き詰められた場所を見つけると
そこに腰を下ろすことにしました。
ようやくハンスの息が落ち着きを取り戻して来た頃、
彼は自分の鼻先に小さな白いモノがチラチラと舞い落ちてくることに気が付きました。
「あれ?雪?」
ハンスは思わずつぶやきます。
「もう秋も終わりだものね・・・。」
ハンスのつぶやきにアナが答えました。
「通りで少し肌寒くなってきたと思った・・・。」
そう言うと彼女は両腕を軽く抱え込む仕草をしました。
そんなアナに、ハンスは自分の上着を脱ぐと
彼女の肩に優しくかけてあげます。
「ありがとう。」
アナは言いました。
「でも、あなたの方は大丈夫?」
アナは彼に尋ねました。
「僕なら大丈・・・大、だい、フ、フ・・・フェックション!!」
本人の言葉とは裏腹に、飛び出してきたハンスの大きなクシャミに、
アナは思わず吹き出してしまいました。
「プッ! アハハハハ!!」
彼女がこんなにお腹の底から大きな声で笑ったのは本当にひさしぶりでした。
「ひどいよ〜、そんなに笑うことはないだろう?」
バツの悪そうな顔になってハンスは言いました。
「ゴメンゴメン、でも、やせ我慢は禁物よ。」
アナは言いました。
「もっとこっちに来て。」
アナはハンスに促しました、そして
彼女は、彼が着せてくれた上着を半分 彼の背中に返してあげました。
「ありがとう。」
今度はハンスがアナにお礼を言う番でした。
二人はお互いのぬくもりが相手に伝わるよう、一枚の上着の中で肩を寄せ合いました。
「互いに肩を寄せ合えば、冬の寒さにも耐えられるのよ。」
そんな言葉も自然に出てくるくらい、今のアナの心は穏やかになっていました。
「それでね・・・。」
アナは言葉を続けます。
「冬になったら、あまり外で遊べなくなるの・・・、
だから・・・」
ハンスの顔を覗き込むようにしてアナは彼に言いました。
「また、時々来て、お喋りとかしてくれない??」
そのアナの言葉を聞いた途端、彼の心の中でつっかえていたものが外れ、
初めてアナと会った時のときめきがハンスの胸に再び戻ってきました、
彼は顔を輝かせてアナに答えました。
「そういうの大好きだ!!」

大樹の幹に背中を預け、二人は暫くの間、
静かに振り続ける雪と、遠くに見えるオーロラを眺めていました。


そんな二人を少し離れた高台から見守る人影がありました、
エルサでした。
今、彼女は皆から慕われる女王陛下の姿から、
きらめくケープを身にまとった雪の女王にと姿を変えていました。
アナとハンスの二人を優しく包む、ちょっとばかり早めの初雪は、
もちろん彼女の魔法の力によるものでした。

彼女はアナが自分自身で心の悩みを乗り越えたことに大変満足していました、
エルサはアナを信じ続け、
そして彼女の願いどおり、妹は自分の期待に答えてくれたことを
何よりも嬉しく、そして誇らしげに感じました。

もう何も心配することが無くなった事を確信したエルサは、フワリと身を翻します、
彼女の後ろには、二人を同じように見守っていたクリストフが控えておりました。
エルサは彼に尋ねてみました。
「あなたは、アナが彼と一緒にいることをどう思ってるの?」
彼女の問いかけにクリストフは何の迷いもなく答えました、
「彼女が・・・決めることですから・・・。」
彼の返事は、曖昧なものでしたが、今はそれで良いかもしれません、
相変わらずスヴェンは納得のいかない顔をしていましたが。
クリストフの答えに優しく頷くエルサ。
そしてクリストフはエルサに軽く会釈すると言いました。
「では、陛下、お城までお連れいたします。
快適なソリの旅を。」
ゆっくりと座席に腰を下ろしたエルサは言いました。
「さあ!前に進みましょう!!」
彼女は言葉を続けました。
「厳しい冬を乗り越えるのは大変だけど、そのあとには必ず素敵な春が待っているから!!」

(完)

*本作は二次創作物であり、版権元とは一切関係がありません。
posted by フェルマータ at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | チェストのなかみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月06日

二次創作小説「アナと雪の女王」〜晩秋のアレンデール(中)〜

晩秋のアレンデール(中)

こ〜がら・し ふ・け〜ば〜 かわ〜さ〜えこ〜お〜〜る〜〜
お城の一角で懸命に働く一人の若者がおりました、クリストフです。

彼はお城の地下に作られた氷室に使う氷を納品に来ていました。
彼はお城専属の氷業者となり、稼ぎは良くなってはいましたが、
それでも忙しいことには変わりありませんでした。
曲がりなりにもお城に納品する氷です、
自分に出来る限りの上質の氷を収めようと心がけていました。

氷室に使う氷くらい、別に気を使わなくても良い、と
アナとエルサは笑って言ってくれたのですが、
やはり、そこは彼の職人としての誇りが許しませんでした。
それに自分の切り出した氷が、どこかで恋人の役に立っていると考えると、
自然に仕事にも力がはいるのでした。

彼は奥の氷室へ運び込むための荷車に、
自分のソリに山積みになっている氷を移し替えます。
ガシッ!
大きな鈎鋏で氷を挟むと、
ドサッ!
荷車へ氷を積み上げていきます。

「どうした?スヴェン?」
仕事をしながら、彼は自分の上着の裾を咥えて引っ張るスヴェンに気が付きました。
「え?《アナに会いたくないのか〜》って?」
わざと声色を変えてスヴェンに尋ねるクリストフ、
彼は自分で尋ねた質問に自分で答えました。
「確かに会いには行きたいが、今は仕事中だ。俺も、彼女も。」
ガシッ、ドサッ!
彼は更に氷を積み上げます。

彼は一旦仕事の手を止めると、スヴェン相手に話しだしました。
「いいか?、アナは王女で、俺はタダの氷屋だ。
いずれアナはどこかの国の王子様と結婚して誰よりも幸せに暮らす、
そして俺は、それを心から祝ってやる、それでめでたしめでたしだ。」
彼はそう言うと、仕事を続けようとしたのですが。
「・・・なんだスヴェン!その納得いかないような顔は!!」
彼はスヴェンの顔を覗きこんで言いました。
「俺のこと心配してるのか??」
彼の言葉に頷いてみせるスヴェン。
クリストフはちょっと肩をすくめると、再び仕事を始めだしました。

ガシッ、ドサッ!

氷を積み上げながら、クリストフはひとつため息をつくと、
彼は誰に言うとも無くつぶやきました。
「まぁな、世界は広いんだ、一年中氷ばかり切り出してる男を好きになってくれる、
物好きな娘の一人や二人、そのうち見つかるさ。」
(・・・それに俺にはおせっかい好きな家族も大勢いるしな。)
クリストフは自分の家族たちの顔を思い浮かべました。
彼は無駄口を終わらせると、
残り僅かになった仕事をやり遂げようと改めて氷鋏を握りしめました。


クリストフが残りひとつの氷を運び終えたと同時に、
彼に後ろから声をかける者がおりました。
「ご苦労様、今、いいかしら?」
彼が振り返ると一人の女性が立っていました。
声の主が誰か気がつくと、途端に直立不動になって挨拶するクリストフ。
「こ、これは女王陛下!」
クリストフに話しかけてきたのはエルサでした。
彼は、突然思いがけない場所に現れた高貴な人物を目にすると、
緊張した表情になって言いました。
「こ・・・こんな小汚い所まで、よくいらっしゃいましたっ!!」
「あらあら、ココは私の城よ。」
ニコニコしながらエルサは言いました。
「あ・・・、し、失礼しましたーーーっ!!」
彼女の言葉にハッとなって気が付くと、
青くなってペコペコと頭を下げるクリストフ、
彼の隣で、スヴェンが呆れ顔になっていました。

ずっと公務が忙しかったエルサは、
クリストフとはほとんど会って話をする機会がありませんでした、
ですが、アナと話をしていると、しょっちゅう彼のことを話題にしてくるので、
いつの間にか、エルサも彼がどういう人柄か、予想がつくようになってしまいました。
さっきも、少しからかってみたのは、彼の人格をちょっと確かめてみたいと思ったから。
エルサの想像したとおり、クリストフは実直な青年でした。

「あなたがクリストフね?、アナが恋人とか言ってる。」
エルサからそう言われた途端、クリストフの顔はみるみる紅潮し、
全身が火照ってきました、積んである氷が溶けそうなくらいです。
彼は慌てながら言いました。
「こ、恋人だなんて!俺が勝手に恋人だとおもってるだけで、
アナの方はどう思ってるか・・・、
・・・い、いや、あ、ア、アナなんて呼び捨てにしちゃいけないな、
お、おお、王女だ、王女!! こら、スヴェン! 上着を引っ張るな!!」
青くなったり、赤くなったりと大忙しの彼に、
エルサは笑いをこらえるのに懸命でしたが、
ようやく彼が落ち着きを取り戻したのをみると、
エルサは彼に本当の要件を話し始めました。
「実はお願いがあるの、あなたのそのご自慢のソリで
私を或るところまで連れて行って欲しいの。」
彼女はクリストフに言いました。
「もちろん、代金は払います。」
「代金だなんて、そんな・・・いらないですよ。」
クリストフは言いました。
「で、どこへ?」
彼に尋ねられると、エルサはこう答えました。
「そうねぇ、そこまでの道は誰よりもあなたが一番知っているだろうし、
私も少し先回りをしておきたいから。」
彼女の言葉に、互いに顔を見合わせるクリストフとスヴェン。
「先回り、ですか・・・。」
今ひとつ合点のいかない表情のクリストフでしたが、
エルサは構わず、
「そう!」
ちょっと含みの有る笑顔になると、軽くウインクして見せました。


 
※ ※ ※



アナは城の外の空気を吸えば、なにか気持ちの整理がつくかと思って、
あてど無く飛び出しては来たものの、
いつまでたっても自分の心のなかのモヤモヤは消え去る気配はありませんでした。

アナはハンスについて、未だに迷っていました。
今でも時々、ハンスがエルサの背に向けて剣を振り上げる光景が不意に目の前に現れ、
そのたびに、心の奥底で何やら言い様のない怒りと苛立ちが、
抑えきれず膨れ上がってきたりするのでした、
頭のなかでは、もう済んだことなのだから、と判ってはいましたが、
それでも未だに心の中に残されたわずかな霜が溶け切らずに
彼女を迷わせているようでした。

そうこうしているうちに彼女はいつの間にか
ノース・マウンテンへと足が向いていました。
誰も居ないところ、誰からも邪魔されずに考え事ができるところを見つけようと
無意識に歩きまわっていたら、知らず知らずのうちにこの山道を歩いていました。
血は争えない、ということでしょうか、
今頃になってアナは、この辺ぴな地に独り向かった姉の気持ちが判るような気がしました。

日は西に傾き始め、辺りの木立は夕映え色に染まりだしていました。
この辺りの標高になると、ところどころに万年雪も残っていましたし、
吹く風は少し肌寒く、近づく冬の気配もはっきりと感じられてきました。
そして、とうとう山道が途切れるところまで歩き詰めると、
そこには、もう既に無いと思っていた物がそびえ立つ姿が
突然視界いっぱいに飛び込んできました。

目の前に見える巨大な建造物・・・
「信じられない・・・。」
アナは思わず独り呟いてしまいます。
彼女が驚くのも無理はありません、
エルサの魔法で築かれた氷の城は、
夏の日差しに耐え、秋の季節を過ぎてさえ溶け落ちる気配も見せず、
そのクリスタルな氷の輝きを少しも失うこと無く、その場にそびえていました。
今彼女の眼の前に立つ城は、去り始めた昼の光と夕日の光が織り交ざった、
複雑な色彩に、その全身を彩っていました。
その城にはもう誰も居ないことは判っています、でもどういう訳か
アナはその城の存在をもっと近くで確かめてみたい衝動にかられました。

「ンゴガァガガガァァーーーーァ!!!!」
アナが氷の橋を渡ろうと、足を一歩踏み出したと同時に、
突如、大きな咆哮が聞こえてきました。
その唸り声の主が何であるか、彼女が考える暇もなく、
その声の主の方から、彼女の目の前に姿を表しました。
彼女の身の丈の数倍はあろうかという、雪で出来た大入道、
その牙と爪は、氷のつららで出来ており、
その背中にも無数のつららがハリネズミのように生えていました。
「こいつも溶けてなかったんだ!」
そう声を上げると、思わず後ずさりしてしまうアナ、
しかし、もうすでにその雪入道は彼女を見つけ、
誰であろうとこの場所から追い出してやると言わんばかりにこちらを睨み、
もうとっくに居なくなった主(あるじ)の命令を実行しようと決めた様子でした。

ドシン!ドシン!と地面を揺るがす足音を立てながら、
雪入道はジワリジワリと彼女との距離を縮めていきました。

(続く)

*本作は二次創作物であり、版権元とは一切関係がありません。
posted by フェルマータ at 22:11| Comment(0) | TrackBack(0) | チェストのなかみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月03日

【書いてみました】二次創作小説「アナと雪の女王」(上)

ディズニー映画「アナと雪の女王」は映画史に残りそうな勢いの作品、
自分も大好きなアニメーション映画です。
という訳で、好きが高じて自分でも物語を一本書いてみました。
ネタバレを多分に含むので、もし、まだ本編を見ていない方はどうぞご注意ください、
本編を見てから、読んでくださることをお勧めします。


晩秋のアレンデール(上)

あの事件が起こってから数カ月後・・・
アレンデールに「本当の冬」が近づいてきていました。
大勢の街の人々が、冬支度のため、街のいたるところで、忙しそうに働いておりました。
波止場には他国からやって来た何隻もの船が錨を下ろし、冬に備え物資の交換に訪れていましたが、
それらの船の中にサザンアイルズ王国の国旗を掲げた一隻の船が混じっていました。


「お久しぶりですね、ハンス王子、よくいらっしゃいました。」
エルサ女王は目の前にいる一人の男性に声をかけました。
お城の中にある謁見の間には、面会を許されたハンス王子がおり、
彼の訪問の挨拶を迎えるためにエルサ女王、そしてアナ王女がおりました。
エルサにうやうやしく頭を下げる、ハンス王子。
「再びお会いできたこと、光栄に思います。」
彼は言いました。
「本日は正式な謝罪に伺いました。」
そして、彼はその場で片膝を絨毯につけ、深々と頭を垂れると、
はっきり、そして堂々と謝罪の言葉を述べました。
「以前のこの国における、私の女王陛下とアナ王女に対する数々のご無礼、ここに改めてお詫び申し上げます。」
彼は言いました。
「もう良いのよ、済んだことなのだから。」
彼の言葉にエルサは穏やかな表情で答えました。
「ありがとうございます、お許しのお言葉、心に痛み入ります。」
重ねて頭を下げる、王子。
彼は頭を下げつつも、チラとアナの方に目を向けます。

アナといえば、来客との面会のためエルサと同様、
礼服を着てはいましたが、表情は堅く、
まるで儀礼のためだから仕方なく女王と一緒にいるだけ、
のような雰囲気を漂わせておりました。
ハンスが謁見の間に入って来てからの間、一度も彼の顔を見ようともしませんでした。
ハンスは送還された後、自国での懲罰を厳粛に受け止め、兄達からの嘲笑にも耐え抜いて
今日の日が来るチャンスを待っていたのですが、
残念なことに、そのチャンスは彼を素通りしてしまいそうでした。
かつての自分の行いに、
そのような扱いを受けても仕方ない、と彼は思いましたが、
同時に少し寂しくも感じました。
しかし、彼はそのような思いは顔には出さず、女王に話を続けます。
「お詫びの品として、食料、衣料品、薬など、船に積めるだけ積んでまいりました、どうぞお受け取りください。」
彼は言いました。
エルサも彼が一瞬、妹の様子を伺ったことに気が付きましたが、
あえてそのことには気が付かないふりをしました。
いらぬ気遣いは、かえって彼の誇りを傷つけてしまう、と思ったからです。
「ありがとう、助かるわ。」
エルサは言いました、そして表情を和らげると、
「さぁ、堅苦しいお話はこのくらいにして・・・」
親しげにハンスに声をかけました。
「長旅で疲れたでしょう? 部屋を用意しているから、どうぞ休んでね。
それに、よかったら、しばらく滞在して街をご覧になって。
素敵な秋のアレンデールの景色も、もうすぐ見納めだし。」
「ありがとうございます。」
彼女の心遣いに頭を下げるハンス。
「では、今日はこれにて・・・。」
彼は、再びエルサに一礼すると、謁見の間の出口の扉へと向かいました。
扉を開く仕草に紛れ、彼は もう一度アナの方を振り返ってみましたが、
やはり彼女は彼が部屋に入ってきた時と変わらず、堅い表情のまま、こちらを見ることはありませんでした。
とうとう彼は、会見中、一度もアナと目を合わせることがありませんでした。
廊下に出ると、残念そうな表情で扉を閉めるハンス。


彼が謁見の間を出て行くと、部屋にはエルサとアナの二人だけが残りました。
急に静かになった謁見の間。

王子が出て行ったのを見届けると、エルサは自分の隣にいる妹に声をかけました。
「アナ・・・、面会中のあなたの態度、あまり褒められたものではなかったわ。」
彼女はアナに問いかけました。
「ハンスに失礼だとは思わなかったの?」
「どっちが失礼なのよ!」
不機嫌な表情でアナは答えました。
彼女は、ハンスが謝罪に来たことにも、少しも納得の行かない様子、
「一体、どの面下げて会いに来たっていうの?」
「アナ!」
姉の言葉を待たず、彼女は言いました。
「私を騙したことはともかく、
姉さんに刃(やいば)を向けたことだけは許さないんだから!」
「私はもう許したわ・・・」
「姉さんは許しても、わ た し は許さないから!」
不満気に言葉を継ぐアナ。
「聞いて、アナ・・・」
少しも機嫌を直そうとしない妹に、エルサは諭すように言いました。
「冬になれば入江が凍って船の貿易ができなくなる、
だから今のうちに出来るだけ沢山の国と友好を結んで、
お互いに必要な物資の交換を・・・」
「『政治的判断』というわけね!」
エルサの話をピシャリと断ち切るように、言葉を放つアナ。
「アナ、互いに肩を寄せ合えば、冬の寒さにも耐えられるのよ。」
なおも諭そうとするエルサの言葉を待たず、アナは更に言いました。
「姉さんは少し変わったわ、今度は悪い方にね。」
妹の言い分に、次の言葉を飲み込んでしまうエルサ。
「・・・とにかく、ハンスのことはしばらく考えさせて!!」
アナは最後にそう言うと、ツカツカと早足に部屋を出ていこうとしました。
エルサが更にアナに声をかけようとしたその時、
扉をノックする音が聞こえました。
部屋の反対側の扉が開き、ひとりの大臣が部屋に入ってきました、
彼は一礼するとエルサに言いました。
「女王陛下、コロナ王国から船が到着いたしました、
どうぞ、積み荷のご確認を・・・。」
「判りました、すぐに参ります。」
エルサは大臣にそう答え、そして再び振り向くと、
そこにはもう妹の姿はありませんでした。
暫くの間、彼女はアナの出て行った扉を哀しそうな目で見つめていました。

(続く)

*本作は二次創作物であり、版権元とは一切関係がありません。
posted by フェルマータ at 22:41| Comment(0) | TrackBack(0) | チェストのなかみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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